家ごもりの日々~その3

日本でもようやく自宅待機の方向へと社会が動き出してくれてホッとしているが、何か全体的に生ぬるい感じで、いつもニュースを読んでいて歯がゆい思いがする。在宅ワークへの切り替えが財政的あるいは技術的に迅速に行えない、そのために出勤を続けなければならない労働者が多いという状況を見て、日本はこれほどIT後進国だったのかと愕然とする。

さて、そんな中、私が1番心配しているのは、母のこと。あと少しで80に届く年齢の母であるが、現役でホームヘルパーとして毎日働いている。クライアントは自分の年齢より若い人も多くなってきたようだが、需要がある限りは働き続けたいというのが母の願いである。

とはいうものの、この新型コロナが中国で流行し始めた頃から、「少し仕事を減らしたい」、「できれば新型コロナが収まるまで休みたい」というのが母が抱いている本音。

いかんせん、人手不足の介護サービス業では、そういった個々の希望は受け入れてもらえない。5年前に乳癌の手術をした際も、母本人はもう仕事に戻ることはないだろうと一旦辞めていたのだが、半年後にはオフィスから再びお呼びの声がかかった。体力が落ちているので、利用者の清拭など力仕事は一切しなくても良いから、というカスタマイズされた(苦笑)仕事内容でも会社側としては戻って欲しかったようである。日本の介護職はそれほど猫の手も借りたい状態だということだろう。

よって、現在も介護職を継続中。新型コロナによる学校閉鎖で、子供のいるヘルパー仲間のシフトが変更となり、母のように自由が効くヘルパーはさらに仕事増量で、週6日、朝早くから1日中、あちこちの家庭に動き回っている。

もちろん、職業柄、マスクやアルコール、手袋の配給はあるので、そういう面では心配はないし、各クライアントは一人住まいや寝たきりの人が多いので、介護先で病気をもらう割合も低そうだが、母は自転車に乗れないため、移動はバスや地下鉄である。大阪市内、まだまだ利用者が多い模様。毎日、ヒヤヒヤものでの移動である。

つい最近は癌を治療し、若い頃には他の病気もしている母は、取り立てて健康体とは言えない。正直なところ、年齢的にも新型コロナの罹患リスク・重症化リスクの高いグループに入るので、本当は家でじっとしていて欲しい。だが、母の介護でないと嫌だという利用者もいるようだし、職場では貴重な人材の母でもある。

母同様、あるいはもっと深刻な理由で仕事に出かける、いわゆるエッセンシャル・ワーカーが多いことだと思う。一方で、エッセンシャルな職業ではないのに出勤を余儀なくされている労働者も大勢いるわけで、それが現在の日本の問題である。

ITインフラの導入は一朝一夕で解決することではないが、今まで放置していたために、現在のような世界の他の先進国では考えられないような事態が噴出しているのである。これを機に、日本政府には「超」迅速な対応をしてもらいたいものであるし、エッセンシャル・ワーカーの健康を守るためにも、その他、外で用事のない人々には家でじっとしていてもらいたい。

母も含めて、エッセンシャル・ワーカーが今以上に病に倒れることがありませんように。

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